SNSも遺品です〜忘れがちなデジタル遺品整理〜

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自分の大切な人やお世話になった人が亡くなったときに、葬儀や故人のものを整理しなければならない遺族や相続人。

悲しみも大きいですが、やらなければならない事もたくさんあります。その1つが遺品整理です。

なんとなくは分かっているけれど、いざ自分が遺族や相続人の立場になると何したらよいか具体的に分からないという方も多いのではないでしょうか。

現代はインターネットの普及により、デジタル遺品という遺品も存在しています。家具や持ち物のように実際に目には見えない遺品のため、どのように整理するのか分からない方が多数です。

この記事ではデジタル遺品とはどんなものなのか、デジタル遺品をどのように整理するのか、分からない場合はどのように整理するのかを細かく分かりやすく説明していきます。

目次

デジタル遺品とは

デジタル遺品とは2017年頃に注目を集め始めています。「終活」という言葉が広まり、デジタル遺品を整理することにも意識が高まってきました。あまり聞き馴染みのない言葉ではありますが、ネット社会の今必ず存在する遺品です。

デジタル遺品とは目で見ることや触ることのできない、携帯電話の情報やパソコン、ハードディスク等のデータのことを言います。これらはなんとなくイメージがつきますが、見落としがちなのがSNSアカウントや有料サービス、ネット銀行も含まれています。

デジタル遺品も遺産や家具などの遺品などと同じで相続されるものの対象となっています。

どのデータがデジタル遺品なのか分からない方もいらっしゃいますよね。デジタル遺品に当てはまるものを分かりやすく説明していきます。

スマートフォン、パソコンのデータ

デジタルと聞いたらスマートフォン、パソコンの2つを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?

現代では1人1台は所持しているスマートフォン。そのスマートフォンで撮影する写真や動画もデジタル遺品になります。

  • スマートフォンの写真、動画
  • パソコン
  • デジタルカメラ
  • ビデオカメラ
  • SDカード
  • USBメモリ
  • ハードディスク

これらの情報はデジタル遺品になります。このデータの入っているスマートフォンやパソコンのログインパスワードもデジタル遺品に含まれています。

ウェブ上のデータ

ウェブ上のデータと言われても大まかすぎて分かりませんよね。ウェブ上のデータと言われるものはこちらになります。

  • SNSアカウント
  • ネット銀行
  • 証券口座
  • メールアカウント
  • 有料サービス
  • クラウドストレージ
  • 仮想通貨(ビットコインなど)
  • ブログ
  • ホームページ
  • サブスクリプションサービス
  • スマートフォン決済サービス
  • ECサイト

キャッシュレス決済が普及してきた為、携帯電話で決済サービスを利用している方も多いのではないでしょうか。

SNSアカウント?有料サービス?サブスク?と思っている方に細かく説明していきます。

SNSアカウント

SNSアカウントとはソーシャルネットワーキングサービスのことで登録したもの同士が交流できるサービスのことです。

  • LINE
  • Twitter
  • Instagram
  • フェイスブック
  • TIKTOK

サブスクリプション

サブスクリプションとは商品やサービスを購入するのではなく、一定期間サービスや商品を利用できる仕組みのものです。

例:音楽アプリ、動画サイト、雑誌、家電、おもちゃなどサブスクで利用できるものは広がっています。これらのサブスクも解約・退会しなければ毎月引き落としをされたり、遺族・相続人に請求がきます。

スマートフォン決済サービス

○○ペイと呼ばれるスマートフォンを使ってQRコード決済ができるものをさします。

  • PayPay
  • 楽天Pay
  • LINEPay
  • メルPay
  • ApplePay
  • ゆうちょPay
  • auPay
  • d払い
  • Origami Pay

こちらの残高なども相続の対象となります。

ECサイト

ECサイトとは電子商取引を行うすべてのウェブサイトを総称した呼び方のことをいいます。

  • 楽天市場
  • Amazon
  • Yahoo!ショッピング
  • ZOZOTOWN
  • PayPayモール
  • ユニクロ
  • 無印良品
  • メルカリ

いくつか例をあげるとこのようなECサイトがあげられます。しかしECサイトは年々拡大しており、数え切れないほどのサイトが存在しています。

デジタル遺品を放置しておく危険性

「デジタル遺品なんてよくわからないからそのままにしておこうかな」

「SNSアカウントなんてそのまま残しておいても大丈夫でしょう」と思われている方はいらっしゃいませんか?その考え方はとても危険です。

デジタル遺品を放置しておくことで、遺族や相続人に大きなリスクがかかってくる場合があります。

スマートフォン、パソコンのデータを放置する危険性

写真や動画のデータをそのまま放置しておくと、保存状況によってはデータが消えてしまったり綺麗に見ることができなくなってしまいます。その時、その瞬間には二度と戻れません。大事な思い出を残していた写真や動画が消えてしまうのはとても悲しいですよね。

また現在は昔よく使われていた電話帳(ハローページ)が減り、2023年には廃止が決定されました。そのため知人や友人の連絡先は携帯電話の電話帳に保存されている方も多いと思います。その連絡先がわからず葬儀の連絡ができなかったり、最悪の場合は個人情報の漏洩・悪用に繋がります。

これらの危険性があるため、データを適切に保存したり削除する必要があります。

ウェブ上のデータを放っておく危険性

SNSアカウントやECサイト、仮想通貨など目に見えないデータは持ち主が亡くなってしまうことで操作できなくなるだけではなく、何を利用していたかも故人にしか把握できていないことが多いです。しかし分からないからといって放置しすると大変な事になってしまう事もあります。その危険性について説明します。

犯罪に巻き込まれてしまう可能性がある

SNSアカウントはそのまま放置しておくことで、第三者にハッキングされアカウントを乗っ取られてしまう可能性があります。また現在のSNSアカウントは○○と連携させて使用している方も多いです。1つのアカウントから他のSNSアカウントまでも乗っ取られ悪用される可能性もあります。

1つのアカウントのフォロワーやフォロワー外の人にダイレクトメールを送り、詐欺行為や迷惑行為を行われてしまうかもしれません。ある日警察から連絡があり、知らない間に犯罪行為に巻き込まれていたということも少なくはありません。

また故人の情報を悪用されることも考えられます。

資産だけではなく負債を負う可能性がある

証券口座や仮想通貨を利用されている方は、資産と負債2つを遺族や相続人が相続することになります。そのままにしておくと、知らない間に負債を抱えてしまうリスクがあります。

FXや仮想通貨は数時間単位で利益が損失になることがあります。口座に残っている資産だけ相続ということではなく、よく調べてみると何千万円もの負債を抱えてしまったという事例もありました。

しかし実際に遺族や相続人に対しての請求が何千万だったという事例はないようで、何十万の請求は何件か事例が上がっています。

大きく利益がでる仮想通貨やFXですが損失も大きくなるこわさがありますし、遺族や相続人が把握していないことが多いためもしものことがあった時に残された人たちのストレスは大きいのではないでしょうか。

使っていないのに料金を払い続けてしまう可能性がある

動画サイトやゲーム、ECサイト、サブスクリプションサービスは毎月、1年に1回の支払いで契約をしていますよね。しかし解約または退会をしなければ、そのまま料金を支払ってしまう事になります。口座やクレジットカードで引き落としを設定している場合は、引き落としができないため請求がきます。

解約・退会手続きをしなければ引き落としができていない分を、遺族や相続人の方に請求されることもあります。

知らない間にクレームやトラブルになっている

メルカリなど一般の方が簡単に商品(不用品)を出品できますが、故人が出品していた商品が届かないというクレームやトラブルに繋がることがあります。商品を購入している方は料金を払っているのに商品が届かない、商品を送れないのならば返金をといったトラブルもあります。

出品者や購入者には故人の事情は伝わっていないため、故人のスマートフォンやパソコンを開いてみるとクレームや請求の通知が大量にたまっていたという事例もありました。

デジタル遺品整理の方法

デジタル遺品について分かったけれどどのように整理すればよいのか分からないですよね。故人がなくなった悲しみのなか、死亡届の書類手続きや銀行手続きなど手続きに追われます。それに加えてデジタル遺品整理もしなければならないとなると、疲れてしまいますよね。

そんな遺族や相続人に変わりデジタル遺品整理をしてくれるサービスがあります。

遺族、相続人ができるデジタル遺品整理もありますので、デジタル遺品整理の仕方やサービスについて詳しくお伝えします。

遺族や相続人がデジタル遺品整理を行う

故人が遺族や相続人のために、エンディングノートを用意してくれている場合があります。エンディングノートとは故人が自分が亡くなってしまったときどのように葬儀をしてほしいか、遺品のことについてなど記入しているノートになります。

こちらのノートにデジタル遺品について記入してある場合もあります。どんなサービスを利用していたか、またそのサービスのパスワードを書いてあります。そちらを確認してアカウントの削除や、サービスの退会、解約を行いましょう。

追悼アカウントとして残すことができる

SNSアカウントそのものは相続できません。故人がSNSアカウントを持っている場合、「追悼アカウント」として残すことができます。このアカウントは遺族や相続人の希望により、利用することができます。ネット社会の現在、需要が増えてきているアカウントです。故人を忘れないでほしい、今までの思い出を残しておきたいといった希望で残す方が多いようです。「追悼アカウント」になると遺族や親しい友人のみ見ることができます。一般の方には見ることができません。

こちらのアカウントを残すことができるのは、現在Instagramとフェイスブックの2つだけです。

TwitterやLINEには「追悼アカウント」は存在しません。しかしアカウントの削除依頼は可能です。

ここで注意してほしいのがTwitter。Twitterは本社がアメリカにありますので、削除依頼は英語で申請を行います。削除依頼には死亡届など書類が必要になります。

LINEはお問い合わせフォームにて遺族や相続人が削除依頼を行います。

デジタル遺品整理サービスを利用する

デジタル遺品整理をしたいけれど、種類が多すぎて把握が難しいと思われることが多いのではないでしょうか。また故人をなくして悲しい中、分からないデジタル遺品整理を行うのは精神的にも肉体的にも疲れてしまうと思います。

そんな遺族、相続人に変わりデジタル遺品を整理してくれるサービスがあります。

デジタル遺品整理サービスを利用するメリット・デメリット

年々デジタル遺品整理サービスは需要が増えており、サービスによって価格は変わってきます。業者に依頼することのメリットやデメリットを調べてみましたので、依頼する際の参考になると嬉しいです。

デジタル遺品整理サービスに依頼するメリット

デジタル遺品整理サービスを利用することのメリットを紹介します。

短時間で処理できる

パスワードやアカウントの検索など、慣れていない人にとってはとても骨の折れる作業になります。そんな作業もプロにお任せすると、アカウントやパスワードの一覧を作成してもらうこともできます。

デジタル遺品について相談できる

デジタル遺品といってもまだ聞き慣れない方も多く、相続や処理について分からない人が多いです。しかしデジタル遺品整理のプロに相談することで、不安な事やわからないことを解決することができます。

買い取り・処理を任せられる

デジタル遺品整理業者によっては、データの処理後デジタル機器の買い取りや処理をお任せできる業者もあります。デジタル機器がいくつもあると処理方法が分からなかったり、自分で買い取りしてくれる店舗への持ち込みも一苦労な作業です。業者に発送するのもデジタル機器ですので、梱包作業も慎重に行わなければなりません。

そんな大変な作業もデジタル遺品整理サービスに依頼すると、一度に解決することができます。

デジタル遺品整理サービスに依頼するデメリット

ここからはデジタル遺品整理サービスを依頼するデメリットについてお伝えします。

依頼費用がかかる

当たり前のことではありますが、業者に依頼すると費用がかかります。デジタル機器はデリケートな機器のため、専門的な知識や技術も必要になってきます。そのため費用も5,000円からだったり安いと言える金額ではありません。デジタル機器の状態によっては、復旧作業から始めることになりさらに費用もかかってきます。

デジタル遺品のデータが消えてしまう可能性がある

デジタル遺品のプロではありますが、故人がパスワードを何度か間違えたら初期化されてしまう設定にしているとデータが消えてしまうこともあります。またデジタル機器が破損、故障している場合もデータが消えてしまう可能性があります。そのためデジタル遺品整理サービスは、成功報酬として価格を設定しているところも多いです

悪徳業者が増えている

悲しいことですが時代に連れてデジタル遺品整理の需要が高まっているため、デジタル遺品整理サービスを謳った悪徳業者も増加傾向にあります。安いと思われる金額に追加で請求されたり、とても安い金額で買い取りをされたりと悪質な行為も多いです。そのため依頼する際に、しっかり見極める必要があります。

実在している業者なのか、実績はどのくらいあるのか、口コミの評価はどうなのか、許可や資格をもっているのか見てみるといいかと思います。また見積もりをしてもらい、他社と比較してみるのもいいでしょう。

デジタル遺品について日本の法律が追いついていない

遺族や相続人に変わってデジタル遺品整理をしてくれるサービスですが、まだまだ日本の法律は追いついていない現状があります。相続人がパスワードを解除したりデータを取り出すことは問題はないとされています。しかし故人の許可なくアカウントにアクセスしたりログインをすることが不正アクセス禁止法に触れてしまう可能性があります。エンディングノートや遺言書に記入があれば不正アクセス禁止法には触れないとされています。

これらのメリットやデメリットを理解した上で、業者に依頼することをおすすめします。

デジタル遺品整理サービスの価格

こちらではデジタル遺品整理サービスに依頼した時の項目ごとに平均価格を出してみましたので、利用される際の目安などにしていただけたらと思います。

スマートフォンのデジタル遺品サービス

スマートフォンの初期化10,000円〜
スマートフォンのパスワード解除20,000円〜
スマートフォン内のデータの取り出し20,000円〜

パソコン関係のデジタル遺品サービス

MacBook・Windows・pcのログインパスワード解除18,000円〜
インターネット上で利用しているID・パスワード一覧の作成15,000円〜
パソコン内のアドレス帳取り出し5,000円〜
パソコン内の写真の取り出し8,000円〜
パソコン内の動画の取り出し12,000円〜
パソコンの強制初期化20,000円〜
パソコンの廃棄5,000円〜
パソコンの復旧15,000円〜

故人のパソコンが壊れており、操作ができない場合はパソコン復旧サービスもあります。壊れている障害レベルにより、料金が大きく変わってきますのでまずは電話をして無料見積もりをしてもらうことをおすすめします。

SNSアカウント整理のサービス

SNSアカウントの削除18,000円〜
運営ブログやサイトの閉鎖10,000円〜
オンライン取引や株取引、仮想通貨など電子資産の有無の調査18,000円〜

デジタル遺品整理サービスの業者はたくさん出てきていますので、サービスを見て価格や利便性のある業者を利用することをおすすめします。

また○○セットという項目でもサービスを展開している業者もありますので、無料見積もりサービス(出張や電話)を利用して比べてみるといいですね。

デジタル遺品整理まとめ

デジタル遺品整理について、お分かりいただけましたか?

故人が亡くなって残された遺族、相続人は悲しみの中遺品整理することは精神的・肉体的にも大変疲れてしまう作業です。デジタル遺品整理サービスなど使えるサービスを利用することで、無理をしないようにされてくださいね。

  • デジタル遺品とはスマートフォンやパソコン、ウェブ上のデータのことをさしている。
  • デジタル遺品を放置しておくことで犯罪に巻き込まれてしまう可能性がある。
  • 資産だけではなく負債を負う可能性がある。(1,500万円の損失があった事例もあり)
  • 使用していないサブスクの料金請求がくる可能性がある。
  • 知らない間にクレームやトラブルになっている可能性がある。
  • デジタル遺品整理の方法は遺族、相続人の他にデジタル遺品整理サービスがある。

こちらの記事が遺族や相続人の方のお役に立てる記事であれば嬉しいです。

最後まで見ていただきありがとうございました。

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この記事を書いた人

介護福祉士として「その人らしい人生を歩むために」という介護観から、終活や遺品整理について学んでいます。

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